学生時代、伊豆に無銭旅行をして以来のハチとイクとの3人の念願の夢のUSAゴルフツアー
悪夢は、USA到着のその夜に起きた。
ホテルに到着、ゴルフツアーの予定を愉しく語り、各自部屋に戻りベッドで眠りに
着きかけた深夜、突然ホテルのフロントから慌てた声の電話。
ハチが倒れているとの事、部屋から飛び出るとパトカーと救急車が赤いランプを点灯させながらホテルに横着けになっている。
ハチの部屋に入ると警察官・救急隊員数名が、ベッドで死んだように横たわっているハチを見守っている。
体には、点滴や心拍数等を測る何本ものチューブ。
「状態はどうなんだ!」と救急隊員に聞くと「非常にシリアスな状態だ、、、」と険しい顔をしての返答。
机には心臓の薬等が数種類散乱している。
警官は、「彼はドラッグをやっているのか?」と麻薬中毒者かと疑っている。
部屋の床は、バスタブから溢れた湯で水溜り状態
バスタブに湯を入れながらそのまま倒れたのであろう。
階下の部屋に漏水したので、宿泊客がホテルのフロントに通報をしたそうだ。
ハチの足を触ると冷たい感触だけが感じられる。
心筋梗塞の手術を3年前に受けて回復したと聞いていたが、殆ど眠れない機中と
慣れないUSAでの右側通行運転で疲労困憊をしたのであろう。
「しまった!USAツアーに誘うのでは無かった、、、」と悔やまれる。
無念の思いで頭が張り裂けそうになる。
先ずはイクを呼ぼうと思い部屋を激しくノックするも返事が無い。
ホテルに到着後、部屋で飲んだウイスキーが効いたのか熟睡をしている様だ。
まさか、イクも倒れているのでは?と、一瞬頭をかすめるもホテルのスタッフに
イクを起こす様に依頼し、救急車に飛び乗って救急病院に向かう事にする。
まさかアメリカで救急車に乗るとは思いもしなかった。
夢のUSAゴルフツアーも一瞬で悪夢へと変貌した。
ハチ、何とか助かってくれ!!!!
何度も何度も胸の中でつぶやく。
(つづく)